News
2024.3.10
リスキリングという言葉は近年急速にビジネス界で広まってきています。
2020年にはダボス会議で「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されました。また岸田総理の所信表明演説内では、リスキリングに「今後5年間で1兆円投入」と発言しています。
さらには2022年の新語・流行語大賞にもノミネートされるなど、その注目度は年々高まっています。
そんな中で
「リスキリングとはいったいどういう意味?」
「リスキリングを導入するにはどうすればいいの?」
と疑問を抱えながらも「今更こんなこと聞けない」と思っている人も多いでしょう。そんな人のためにこの記事では「リスキリングとは何か?」「リスキリングを導入するメリット」「リスキリングを導入する手順」について解説します。
この記事を参考にしてみなさんの会社のDX化に役立ててください。
経済産業省はリスキリングを、現代社会で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、新たなスキルを獲得することと定義しています。
現代社会では、多くの業務がロボットやAIによって自動化されており、身近でも変化を実感している人は多いでしょう。この大きな変化の中でひっそりと消えていく職業もありますが、一方でAIやロボットを操作するという新たな仕事も生まれています。
その新たな業務を安定して行うには当然専門の人材も必要です。そのような事情から、新たな技術に精通した人材を確保するためにも、リスキリングはとても重要な現代ビジネスのテーマなのです。
リスキリングは、スタッフの成長だけでなく、企業の競争力維持と社会全体の経済発展にとっても重要なキーコンセプトとなっています。
アンラーニングは「学習棄却」とも呼ばれ、既存の仕事の信念やルーティンを一旦白紙に戻し、新しいスタイルを取り入れるという行為を指します。
現代は変化があまりに激しく、従来の方法だけでは対応しきれない業務やケースが増えています。新たな時代に対応するためには、過去に有効だった知識やスキルを手放し、新しい知識やスキルの習得が必要です。つまりアンラーニングは、古い知識を「捨てる」ことに重点を置き、新しい学びへの道を開くことで知識をアップデートするという考え方なのです。
アンラーニングは、柔軟かつ効果的に時代の変化に対応できるようにするためにも、現代社会においてとても重要な要素と言えます。
リカレント教育という言葉には、「循環する」や「繰り返す」という意味が込められています。
業務と平行して学ぶリスキリングとは異なり、リカレント教育は仕事を一時的に離れ、大学などの教育機関で再教育を受けるという点が特徴的です。この教育形式は、個人のキャリアアップや知識のアップデートを目的としており、この点でもリスキリングとは大きく異なります。
リカレント教育は、一人ひとりが激しい変化の時代で生き残れるスキルを身につけるための、非常に重要な考え方です。
日々変化するビジネス環境の中で、企業におけるリスキリング導入の重要性が高まっています。この記事を読んでいる人の中にもリスキリング導入を検討している人は多いでしょう。そんな人のために、ここではリスキリングによって得られる4つのメリットを紹介しましょう。
三菱総合研究所の予測によれば、今後10年で特定職種の人材不足が顕著になるとされています。リスキリングを通じて社内での人材育成を行うことで、この問題に対する早期の対策が可能です。今後さらに重要となるDXやAIに関する人材など、専門性の高い職種の確保も期待できるでしょう。
学びの場を提供し、キャリア形成をサポートすることで、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。結果として、生産性向上へとつながり、企業の業績にも好影響を及ぼすでしょう。
社員が自発的に新しいスキルを学ぶ文化が根付くことで、「自律型人材」が育ちます。このような人材が増えれば、組織全体がイノベーティブに変わるかもしれません。
既存事業に精通した社員がリスキリングを受けることで、新しいスキルを速やかに業務に反映させられます。外部からの採用と比べ、事業の深い理解に基づくスムーズな業務遂行が可能になるわけです。
リスキリングの導入は、企業が直面する様々な課題をクリアするための鍵となります。それでは、この重要な取り組みを成功させるための5つの手順をご紹介します。
まずは自社の業績や事業内容をしっかり理解し「今不足しているスキル」「将来必要になるスキル」を明確にしましょう。データベースやAIなどのテクノロジーを活用し、現在抱えている問題点をあぶり出すという方法も効果的です。
次に、効率的にスキルを習得できるプログラムを設計しましょう。人それぞれ最適な学び方が異なるため、多様なニーズに応えられるよう、内容を洗練します。また、せっかくいい内容でも学ぶ順序によっては学習効果が半減してしまいます。そのためプログラムの進行順序にも配慮が必要です。
効率的にリスキリングをすすめるためには、適切な教材の選定は欠かせません。Webベースの教材や紙のテキストなど、選択肢は様々です。自社で作成するか、あるいは外部のリソースを利用するか、目的と予算に応じて最適な教材を選択しましょう。その際はスタッフの特性を把握し、教材との相性を考慮することも大切です。
プログラムと教材が揃ったら、いよいよリスキリングスタートです。可能であれば、業務時間内に学習の機会を設け、自社の本気度を示しましょう。賃金をもらいながら学習することになれば、従業員の学習意欲もさらに高まるはずです。また、初めてのことに戸惑いがある従業員もいるかもしれません。ー人ひとりの声に耳を傾け、フレキシブルな学習環境を提供しましょう。
学んだことを活かさなければ、せっかくの努力も水の泡です。業務に新しいスキルを取り入れ、実践する場を積極的に作り出しましょう。小さな失敗を恐れず、新たな知識を仕事に活かすことで、組織全体が大きく前進できるはずです。
リスキリングの導入は、個人のスキルアップだけでなく、組織文化の革新にも繋がります。この5つの手順を参考に、変化に対応し、持続可能な成長を目指す企業へと歩みを進めましょう。
リスキリング導入には、いくつかの課題があります。ここでは、それぞれの課題ごとに小見出しを設け、解説していきます。
企業内でリスキリングを成功させるためには、経営陣を含む全員の協力が不可欠です。そのためには、リスキリングの必要性やメリットを理解してもらうことが課題となります。
解決策
リスキリングの重要性を全従業員に説明し、積極的な取り組みを行うことで賛同者を増やしましょう。同じ志をもつ人が増えれば、社内の協力体制が整い、リスキリング導入もスムーズになるでしょう。
リスキリングは長期間にわたる取り組みなため、途中で従業員のモチベーションが下がることがあります。
解決策
従業員がモチベーションを維持できるよう、インセンティブの設定や、学習の進捗を共有する仲間を作るなどの仕組みを作りましょう。また、リスキリングの効果を実感できる機会を提供することが、モチベーション持続の鍵となります。
質の高いコンテンツを用意しても、教材選びに失敗すると、リスキリングの効果が半減してしまう恐れがあります。
解決策
社内のニーズに合致したコンテンツ選びを心がけましょう。不安な場合は、外部の専門家に相談するのも一つの方法です。適切な教材を選定することで、リスキリングの成果を最大限に引き出すことができます。
リスキリングの導入には、多くの課題が伴いますが、適切な解決策を講じることで、これらの課題を乗り越えることが可能です。各企業の状況に合わせた柔軟なアプローチを取り入れ、従業員のスキルアップと企業の発展を目指しましょう。
リスキリングの導入は、技術革新とデジタルトランスフォーメーションの波を乗り越えるために欠かせない戦略の一つです。
次世代に通用するスキルの習得は、個人のキャリア発展だけでなく、企業の競争、社会全体の経済発展にとっても非常に重要な要素と言えるでしょう。
またリスキリングを成功させるためには、経営陣を含む全社員の協力と、従業員の学びたいという意欲が不可欠です。
正しいステップを踏み、リスキリングを如何にスムーズに導入できるかが、これからの時代を生き抜く鍵となるでしょう。