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2024.3.17

IoTとDXの違いって何?導入のメリットや用語を解説

デジタル変革を象徴する「IoT」と「DX」は、近年、企業や社会において不可欠な要素となりつつあります。しかし、これらの用語が頻繁に使用される一方で、それぞれの概念や活用方法を正確に理解している人は意外に少ないかもしれません。

また、「IoT」と「DX」はどちらも最先端のデジタル技術を利用しますが、概念や使用用途は大きく異なるので導入する際は注意が必要です。

この記事では、IoTとDXがなぜ重要なのか、そしてそれらの基本概念から大きな違い、連携による相乗効果に至るまでを詳しく解説します。本記事を参考にし、ビジネスの効率的なデジタル化に役立ててください。

 IoTとDXの基本概念

「そもそもIoTとDXとはそもそも何なのか?」という疑問を持っている人も多いでしょう。なので、まずはIoTとDXの基本的な概念について解説しましょう。

IoT(Internet of Things)とは

IoT(Internet of Things)は、文字通り「モノのインターネット」と訳され、あらゆるモノがインターネット経由で通信し合うことを意味します。

これまでインターネットはコンピュータ同士の接続に限定されていました。しかしIoT技術の発達により、現在ではテレビやスマートスピーカーはもちろん、冷蔵庫や洗濯機までもがデジタル情報家電としてネットワークに接続されるようになったのです。従来インターネットに接続されていなかったあらゆる「モノ」が情報伝達のための通信手段としてインターネットに接続されることで、日常生活やビジネスのあらゆる面で革新的な変化が起こっています。

IoTの目的や応用は多岐にわたっており、今後もますますIoT化された製品が市場に流通すると考えられています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DX、すなわちデジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術やデータの活用を通じて、企業のビジネスモデルや業務プロセス、組織文化や風土などを根本から変革し、新たな価値を生みだすという目的を持っています。

経済産業省のデジタルガバナンス・コード2.0では、DXは次のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

※引用:デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省

DXの推進は、企業が急速に変化する市場環境に適応し、より優れたサービスを提供することを可能にし、最終的には社会全体の利便性と効率性を高めることにつながるのです。

IoTとDXの具体的な違い

ここからは、IoTとDXがどのようにビジネスシーンで使い分けられているのか、具体的にその違いを解説していきます。

IoTとDXの目的

IoTの主な目的は、物理的な「モノ」をインターネットに接続し、デバイスの遠隔操作やデータ収集を可能にすることにあります。これにより業務の効率化、自動化、リアルタイムなデータ分析が実現できます。

一方、DXはデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを全体的にデジタル化し、企業の競争力を高めることを目的としています。

両者の大きな違いは、IoTは「モノ」のインターネット化に焦点を当てており、DXはより広範な視点から企業全体のデジタル化を目指しているという点です。

「IoT」と「DX」の応用範囲

IoT技術はスマートホーム、ウェアラブルデバイス、産業自動化など様々な製品やサービスに応用されています。今後もIoTが発展すれば、社内のあらゆる「モノ」が遠隔操作できる時代になるでしょう。

一方でDXはクラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能などの技術を駆使して、企業運営のベースを変える技術であり、その応用範囲は企業のビジネスモデル全体に広がります。

「IoT」と「DX」がビジネスに与える影響

IoT技術の利用により、デバイス運用の効率化、コスト削減、サービスのクオリティ向上など、比較的直接的な成果が期待できます。例えばIoTを利用し遠隔で電力消費を管理することにより、効果的なコスト削減が実現できるでしょう。このようにIoTには導入してすぐに効果を実感しやすいという特徴があります。

一方DXは、新たな顧客の獲得や、ビジネスモデルの革新、持続可能な競争優位性の構築など、より戦略的かつ長期的な影響をビジネスに与えます。たとえば最近増えている業務のテレワーク化もDXの一例です。DX導入によってすぐに利益が向上するとは限りませんが、根本的な企業のデジタル化により市場での優位性獲得につながるでしょう。

IoTやDXと混同されやすいデジタル用語

近年、デジタル用語が多数使われるようになったため、IoTやDX以外にも混同されやすい言葉がいくつかあります。ここでは中でも混同されやすい4つのワードについて解説しましょう。

  • ICT
  • AI
  • RPA
  • BI

ICT

ICTは情報通信技術の略称で、情報の収集、処理、伝達、保存などをコンピューターやネットワークを使って行う技術のことです。スマートフォンやパソコン、インターネットなどがその代表的な例です。

ICTは私たちの生活を便利にするだけでなく、学校や仕事でも重要な役割を果たしています。例えば、スマートフォンを使って友達や家族とコミュニケーションを取ったり、インターネットを使って情報を検索したり、ソーシャルメディアで交流したりすることも該当します。また、オンラインショッピングやオンデマンド動画配信サービスなど、様々なサービスが利用できるようになっています。

さらに、ICTは教育やビジネスの世界でも重要な役割を果たしています。学校ではICTを活用した授業やオンライン学習が増えていたり、企業ではコンピューターやソフトウェアを使って業務効率を向上させたり、顧客とのコミュニケーションを強化したりしています。

AI

AI(人工知能)は、コンピューターやロボットに人間のような知能を持たせる技術やシステムのことです。人工知能は、様々な方法で学習し、問題を解決したり、意思決定を行ったりする能力を持ちます。AIを取り入れることで画像認識や音声認識など、従来は人間でなければできなかった処理をコンピューターが代行できるようになります。

AIの基本的な仕組みは、データを収集し、パターンや規則性を見つけ出すことです。そのためには、大量のデータと、そのデータを処理するためのアルゴリズム(手順)が必要です。例えば、画像認識のAIは、多くの画像データを学習して、特定の物体やパターンを識別する能力を身につけます。

AIの応用は多岐にわたります。例えば、自動運転車はAIを利用して周囲の状況を認識し、安全な運転を行います。また、音声アシスタント(例えば、SiriやAlexa)は、音声認識や自然言語処理の技術を使って、ユーザーの声を理解し、要求に応じて行動します。

RPA

RPAは「ロボティックプロセスオートメーション」の略で、ロボット技術を活用して日常のデスクワークを自動化することを指します。RPAの導入により、時間がかかるルーティン業務を効率的に処理することが可能です。

RPAは、人間が毎日繰り返し行う単純でルーチンな作業を自動化することができます。例えば、Excelファイルからデータを抽出して別のデータベースに入力する作業や、定型メールの送信、顧客情報の更新などがその例です。これにより、従業員はより重要なタスクや創造的な活動に時間を費やすことができるようになります。

RPAは、特別なプログラミングの知識がなくても使用することができます。しかしすべての業務が自動化できるわけではないため、一部の業務は人間の介入が必要です。また、複雑なプロセスや判断が必要なタスクはRPAに適していない場合があります。

BI

BI「ビジネスインテリジェンス」は、企業が持つ膨大なデータを分析・可視化し、より良い意思決定を支援するツールです。BIを用いることで、顧客の行動パターンの理解や市場の動向分析が容易になり、競争優位性を確立できます。

例えば販売データ、顧客の嗜好、在庫レベル、競合他社の動向などを収集し、分析することから始まります。次に、収集されたデータはレポートなどの形式で表示されます。これにより、データがわかりやすく可視化され、ビジネスのパフォーマンスやトレンドを素早く理解することができるのです。

IoTをDXに活用するメリット

IoTとDXはそれぞれ概念は違いますが非常に親和性の高い技術です。IoTを効果的に応用することで、企業のDX化はよりスムーズになるでしょう。ここではIoTをDXにする4つのメリットについて解説します。

  • 生産性の向上
  • 労働環境の改善
  • コスト削減の実現
  • 新たなビジネスチャンスの創出

生産性の向上

IoTを活用することで、センサーやデバイスが自動でデータを収集し分析するため、人が行う必要のある作業が大幅に削減されます。これにより、スタッフはより重要な業務に集中でき、全体の生産性が向上します。また、DXによって業務プロセスがデジタル化されると、情報がリアルタイムで共有されるようになり、意思決定のスピードも向上するでしょう。

労働環境の改善

IoTを活用したスマートオフィスを導入すれば、あらゆる機器を手軽に管理できるようになります。業務の工数減少にもつながるため、従業員の満足度向上も期待できるでしょう。スマートオフィスの導入により優秀な人材の確保や定着にも繋がります。

コスト削減の実現

IoT技術による自動化や効率化は、中長期的に見れば大幅なコスト削減に繋がります。例えば、センサーを用いて設備のメンテナンスが必要なタイミングを正確に予測できれば、無駄なコストを省き、故障による生産停止のリスクを低減できるでしょう。またIoTを用いて業務の工数を減らすことで、人件費の削減にもつながります。

新たなビジネスチャンスの創出

IoTとDXを活用することで、これまでにない新しいサービスや製品を開発できる可能性が広がります。例えばIoT化した家電製品から顧客のデータを収集し分析することで、市場のニーズをより深く理解し、それに応える新しい商品の開発につながるでしょう。

まとめ

デジタル変革技術として注目されている「IoT」と「DX」は、テクノロジーの進化と共に私たちのビジネスや日常生活に深く根付いています。

IoTは物理的なモノをインターネットに繋げる技術として、DXはこれらの技術を駆使してビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革する動きとして今後さらにビジネスの場で重要視されていくでしょう。

本記事を参考にし、みなさんの会社でもDX推進を目標にしたIoTの導入を検討してみてください。企業の適切なDX化、そしてIoTの導入は、巨大なデジタル化の波を乗りきるカギとなるでしょう。