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2024.5.25

伝票処理の効率化の方法は?気を付ける点も解説

電子帳簿保存法も施行され、国税関係帳簿書類は一定の要件のもとデジタル保存となりました。これを機に、伝票などもデジタル化して効率化をはかろうと考える方も多いでしょう。

伝票をデジタル化することで「保管スペースが不要になる」「管理・検索が楽になる」「業務フローが改善できる」といったメリットがあります。どうしたら伝票処理を効率化できるのかは気になるところです。

本記事では伝票処理の効率化を考えている方に、その進め方や気を付けることを解説します。

伝票処理の効率化にはシステム導入が必須

伝票処理をデジタル化により効率化するには、それをおこなうシステムの導入が必要となります。

そのシステムも伝票処理に合わせたミクロなシステムから、伝票処理業務以外のさまざまな業務を一元管理できるマクロなシステムまでさまざまです。それぞれのシステムについて紹介します。

経費精算システム

経費精算システムは、組織や企業が従業員の経費を管理・精算するためのソフトウェアやプラットフォームです。従業員が業務関連の経費を申請し、管理者がそれを承認し、経理部門が支払いを処理するプロセスを効率化します。

紙ベースの手続きを電子化し、自動化することで、従業員が経費を簡単かつ迅速に申請できるとともに伝票処理もデジタル化できます。領収書や請求書をスキャンしてアップロードし、システムが必要な情報を抽出することも可能です。

伝票処理の効率化を考えると、デジタル処理されたものを会計ソフトへの入力までがセットとなるため、連携が必須といえるでしょう。

会計ソフト

会計処理は伝票管理をおこなう経理部門の業務に特化した単体業務向けの基幹システムです。経費精算、請求書発行などの機能を限定したソフトもあります。

会計ソフトを使用することで、銀行やクレジットカード、POSレジと連携させ自動入力ができます。その他、請求書や領収書の情報を自動仕分けするため、会計業務が大幅に効率化されます。

伝票処理を最大限効率化する場合には上記の経費精算システムと両方を活用するのがよいでしょう。

ERP

ERPは、企業内の基幹業務を統合・可視化して効率化を図るシステムです。販売、会計、人事・給与、在庫、生産、物流など、すべてのデータベースを一元管理します。

ERPシステムでは伝票入力作業も、経理部門でなく各部門が入力処理したものがそのまま仕訳データに反映する仕組みが構築されています。これにより月末に集中する経理部門の業務負担の大幅な軽減が可能です。

また、グループ会社でばらばらだった会計システムも統合でき、各社の状況の把握が容易になります。例えばクラウド型のERPのシステムでは、部分的に導入することから始め段階的に利用拡大もできるため、必要な機能から導入しやすくなっています。

伝票処理のデジタル化の進め方

伝票処理をデジタル化するには、現状の把握と目的を明確にし、システムを導入することが重要となります。

目的を明確にする

まず現在の伝票処理に関する業務フローを明確にしましょう。その上で経理部門・伝票処理をデジタル化することの必要性を明確化し、共有します。それにより、社内での理解が得られスムーズにデジタル化がおこなえます。

書類の選定

伝票処理のデジタル化をおこなう場合に、関連する書類もデジタル化するのか、最終的に経理部門全体の書類をデジタル化するのかなどの決定をおこないます。その上で、はじめは伝票処理のみおこなうスモールスタートで進めていくのがよいでしょう。

システム導入の検討

伝票処理のデジタル化にはシステム導入が必須のため、自社にどのようなシステムが合っているのかを検討する必要があります。現在使用しているソフトと連携させるのか、基幹システムから変えるのか、コスト面などさまざまな要素が関わってきます。システムの決定は慎重におこなう必要があるでしょう。 

業務フローの構築

伝票処理をデジタル化すると、新規に作成する全ての書類を電子化する必要があります。そのため、伝票の作成から処理までの業務フローは大きく変わります。さらに、取引先から提供される書類の取り扱いも変わります。したがって伝票のデジタル化に伴い、紙に印刷することなく、電子データで一連の業務をおこなう新たな業務フローを設計しましょう。 

番外:アウトソーシングの活用

人材やコスト面で自社のみで伝票処理・経理業務のデジタル化が難しい場合、経理業務をアウトソーシングすることも検討の1つに入ります。その場合、既存の書類のデジタル化もアウトソーシングしてしまうのもよいでしょう。伝票処理から管理まで丸ごと委託することができ、業務効率化が図れます。

伝票処理をデジタル化する際に気を付けること

伝票処理のデジタル化により業務効率化やコスト削減が図れますが、業務に影響する場合もあります。デジタル化の際に気を付けるべきことを紹介します。 

全ての伝票をデジタル化する必要はない

伝票処理業務の大幅な変更により、予期せぬミスや問題を引き起こす可能性があります。

紙の伝票で業務がスムーズに進行していた店舗が、新たなシステムを導入した結果、その使い方が理解できなかったり、操作がスムーズに行えなかったりして、顧客に不便をかける可能性があります。また、伝票だけでなく、FAXで受け取っていた注文を全てEメールに切り替えた結果、取引を止めてしまう顧客が出るかもしれません。デジタル化が進んでいない相手先に対して無理にペーパーレス化を強いる可能性もあります。

電子化によるメリットが明確に大きい部分を見極め、段階的に電子化を進めていくのが良いでしょう。

手書きの伝票はOCRで対応

上記のような理由により手書きとなった伝票も出てきます。その場合にはOCRでテキスト化したデータにして対応しましょう。CSV出力やRPAで連携することで会計システムに自動入力でき、臨機応変な効率化が実現できます。

電子化した伝票の保存ルールを知っておく

伝票に限らず電子化された書類にはe-文書法にて保存管理の要件が定められています。下記の4つの要件を満たしている必要があることを知っておきましょう。

  • 見読性:パソコンなどデジタル端末で鮮明に読める
  • 完全性:書類の改ざんを防ぐ措置が取られている
  • 機密性:第三者による不正アクセスなどを防ぐ措置が取られている
  • 検索性:対象の書類が容易に検索できる

また、国税関係帳簿の記載内容を保管する伝票に関して、電子帳簿保存法が適応され、デジタル保存が可能なため、伝票をデジタル化することは問題ありません。

伝票処理は上手なデジタル化が大切です

伝票処理の効率化にはデジタル化が必須であり、そのメリットは大きいです。

デジタル化は、清算管理システムから会計システム、ERPまで規模もさまざまな方法を選択することができます。伝票処理のデジタル化は明確な業務フローを構築することでスムーズにできます。しかしながら、店舗の状況や取引先次第では問題が生じることもあるため、状況に合わせたデジタル化の検討が必要でしょう。

自社の状況や規模に合わせた上手なデジタル化が伝票処理の効率化の鍵です。